天下堂

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加工の話2013.01.06

過去に書いたことのある内容で恐縮ですが、いわゆる眼鏡の「加工」作業について今回も書かせていただこうと思います。加工するのは「spec espace(スペックエスパス)」のモデル/ES-6085、レンズは単焦点レンズです。

まず、レンズを削る加工機にレンズの形状と種類、フレームサイズ、アイポイント(目の位置)等を入力します。
モデル/ES-6085には型板があるので、それを使用しています。

続きまして、実際に削るレンズの光学中心と乱視軸を合わせて印を付けます。

それから先ほどの光学中心や乱視軸がずれないように吸盤を取り付けます。(今でこそ一発で正確に付けられるようになりましたが、眼鏡屋で働き始めの頃は何回もやり直したのを思い出します 笑)

吸盤の付いたレンズを加工機で削る準備をします。このときにレンズのカーブや溝を掘る位置、幅、深さなどを調整します。この設定しだいで完成時の仕上がりが変わってきますので慎重に行います。

実際にレンズを削っているところです。昔の眼鏡屋さん達は手作業でレンズを削っていたのでまさに職人と呼べるような仕事をしていたと思いますが、現代では加工機とどれだけ仲良くなれるかがポイントだと思います。あまり世間では知られていない裏ワザもあります。

レンズが大きすぎず、小さすぎずの絶妙なサイズで削り終わったら(状況に応じて何度も微調整して削ります)手作業でレンズの角を滑らかにする「面取り」を行います。加工機にも面取り機能が付いていますが、仕上がりは手作業の方がキレイにできると思っていますので、この工程だけは加工機には任せられません。(ゴメンネ)

今回のようにレンズに溝を掘るタイプのフレームはナイロール(糸でレンズを固定するタイプ)がほとんどですが、スペックエスパスでは極薄のβチタン製シートメタルを用いてレンズを固定します。
(これが本当の鯖江クオリティー! 笑)

最後にフィッティングと度数が正確に仕上がっているのか確認して、キズなどが無いかを検品して完成です。
所要時間はフレームとレンズによって異なりますが、私だと1本仕上げるまで約30分前後になることが多いです。ただ作るだけなら15分くらいで終わるのでしょうが、レンズに歪みが入らないようにミリ以下の微調整をしているとそれくらい掛かってしまいます。